ユダヤ人軍兵の冤罪“ドレフュス事件”、映画『オフィサー・アンド・スパイ』


すぬ子すぬ子

ドクター。最近、第二次世界大戦の映画が多いやん。
たまには別の時代の映画みたなぁ。

イケメンが出てるなら、なお良し!やけど。

ドクターSドクターS

おーホッホッホ。
すぬ子ちゃんらしいのぉ。

よし、では今回は、第二次世界大戦より少し前の時代で、
1894年に起きた事件の映画を紹介しよう。

『オフィサー・アンド・スパイ』という映画じゃ。

もちろんイケメンも出ておるぞ⭐️

ドクターSドクターS

この映画はごくごく簡単に説明すると、

舞台はフランス陸軍内部の話。
軍には、ドレフュスさんというユダヤ人の軍人がいた。

その人が、全く言われのないスパイ容疑の罪で
終身流刑を言い渡され、”悪魔島”(南米のフランス領ギアナ)に
監獄される、という事件じゃ。

言っておくが、このドレフュスさん、
この人自身に非ははまったくない。
100%、無実の被害者だ。

ところが、この事件の裏には、
①数世紀にわたるフランスとドイツの対立関係と、
②陸軍内部に根付いていた、反ユダヤ感情が潜んでいた。

その見えざる大きな波に呑み込まれた結果として、
無実の罪を被せられたドレフュスさんは、
フランス史上最も悪名高い流刑地”悪魔島”に
4年間も収容されたのだ。

ドレフュスさんにしてみれば、ドンダ大惨事で、
人生の貴重な数年をボロボロにされて
悲しみと怒りでいっぱいだったと思う。

ところが、この事件の重要な点は、
ドレフュスさんの個人的な問題だけにとどまることではない。

もっと、はるかに重要なことじゃ。

なんと、この事件は、ヨーロッパ近代史上、
最も広く知られ、最も大きな影響を与えた
”ユダヤ人差別事件”となってしまうのだ。

なぜなら、フランスが、国家ぐるみで、
”反ユダヤ主義”的行為を遂行したという歴史的事実を
残したものだからじゃ。

すぬ子すぬ子

へぇ〜💦

今まで、第二次世界大戦の映画ばっかり
見てたからか、「ドイツひどいなぁ。」と
ばっかり思ってたけど、

フランスも酷すぎるやん。
しかも、何も悪いことしてへん軍人さんに
”ユダヤ人”って理由だけで罪被せるなんて。

ドレフュスさん、トンダとばっちりやわ。

ドレフュスさん、結局どないなったん?

ドクターSドクターS

ドレフュスさんはその後も
無罪を主張した甲斐もあって、1906年に無罪となったんじゃ。

それ自体は本当によかったよかった、と思うぞ。

しかしな、この事件以後、
”反ユダヤ主義”自体がフランスの国家機関の随所に
根付いてしまう。

そしてそれがさらに、第二次世界大戦中のナチス占領下で、
フランスの官憲がおこなったホロコースト加担に
繋がっていくんじゃ。

フランスにもナチスの収容所はあったからなぁ。

そうそう、前に紹介したハンナ・アーレントさんも
フランスのギュルス強制収容所に一時連行されていた
と言うておったじゃろ。

すぬ子すぬ子

え💦

フランスもナチスを同じことしてたわけ!?

ドクターSドクターS

まぁ、それについては
また別の機会に詳しくは話そう。

あと、もう一つ、すぬ子ちゃんに知っておいて
欲しい重要なことがあるんじゃ。

実はな、このドレフュス事件は、
今後、世界地図を塗り替える
歴史的な出来事のきっかけとなるのじゃ。

そう。

それは何かというと・・・
「ユダヤ人の国家を作るんだ!!」
という、シオニズム運動の創始者、
テオドール・ヘルツルさんの活動の幕開けじゃ。

ヘルツルさんは、ちょうど、ウィーンの代表的新聞の
特派員として、パリに駐在した時に、
このドレフュス事件を目の当たりにする。

ユダヤ人というだけで、こんなにもヒドイ仕打ちを
受けるという現実を見せつけられた彼は、

まさにこの瞬間に、
”ユダヤ人にはホームランドが必要だ”
という信念を確立するのである。

ドレフュスさん自体は一旦は、すべてを失った
どん底人生だったと思う。

しかし、彼の受けた屈辱が、
今のイスラエル国に繋がっていると思うと、
歴史的にこの上なく重要な人物であり、
感動的な話じゃな。

すぬ子すぬ子

へぇ。

ドレフュスさんがどこまでそのこと知ってるんか
知らんけど。ドレフュスさんにとったら名誉な話やな。

ドクターSドクターS

さようじゃな。

ユダヤの歴史を学んでみて思うが、
全ては繋がっておるんじゃな、と改めて思うわい。

すぬ子すぬ子

ほんまやなぁ。
まぁ、いつの時代も見事にいじめられてる感じするけど、

いじめられ続けたが故に、
今の強さにつながっているんやとほんまに思うわ。

ユダヤ人の歴史は奥深いわぁ。
もっと知りたい。

けど、まぁ、今日はこの辺で終わっとこか。

ほんなら、最後に〆のジョークよろしく〜。

ドクターSドクターS

あはははは!

さすが、すぬ子ちゃん、〆のアテンドまでしてくれるのか。

ではでは、今回はジョークというか逸話みたいなもんじゃ。

さすが、何千年もの間、辛酸をなめ続けた
ユダヤ人ならではのジョークじゃぞ。

あるユダヤ人のお兄さんが重い病に倒れたので、
早く回復できるよう、ラビに祈祷を頼んだ。

すると、帰りにラビはこう言った。

「どうか、もっと悩みがありますように!」

そのユダヤ人は肩に荷がおりたように楽になった。

すぬ子すぬ子

は!?

どういうこと???

ひどすぎるやん、それ。

もっと苦しめってことかい!?

ドクターSドクターS

ほーっホッホッホ。

予想した通りの反応じゃ。
われわれの感覚としては、常識的にそう思うよな。

苦しんでいる人にもっと苦しめなんて、
人として人格を疑われそうな発言じゃもんな。

ところがじゃ、このユダヤのラビの発言は
もっと奥が深い。

その真意は、

「人の悩みは、絶えず起こる日常のストレスにしかすぎず、
多くの悩みを抱えている方がむしろ普通だ。

一つだけにこだわると、それに心を奪われて、
問題をますます深刻化させ、かえって身を滅ぼす。

いろんな多くの悩みを抱えているほうが、
気分が分散されていいから。」

という理屈なんじゃ。

どんな人でも、一生を通して何一つ
悩みのない人間なんて、おそらくいない。

ユダヤ人ならなおさらじゃ。

ユダヤ人ほど、世界各地で長らく差別され、
迫害された民族はいない、
とすら言われているくらいじゃからな。

ということで、これは、そんなユダヤ人ならではの
エピソードというわけじゃな。

すぬ子すぬ子

そういうことね。

どこに行っても差別や偏見にあったり、
ときには、迫害や殺害と隣り合わせで生きないとアカンなんて、
生きるだけで悩みやもんなぁ。

わたしら、ほんまありがたい生活してるんやなぁ。

と今日も切に感じた1日でした。

ほな、ドクターありがとーう!

また次回も期待してま〜す⭐️

画像出展「Amazon」

参考文献:「世界を動かしたユダヤ人100人」、「頭がよくなるユダヤ人ジョーク集」