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はぁぁぁ。
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ドクター、どないしたん?
めずらしく、そんな”この世の終わり”みたいな大きなため息して。
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あ!わかった!
その顔はゼッタイ”恋わずらい”やな!
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え!ドクター、ぬけがけやん!
わたしらが知らんうちに、恋ごころに花を咲かせてたってこと!?
そんな時間があったなんてびっくりやわ!
で、で、で、お相手はどこぞのどなたさんかしら?
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お、お、お、お〜〜〜〜〜い!
ふたりとも!
何を言うとるんじゃ!
わしが真面目に考え込んでおるのに
勝手なことばかり〜〜〜!!!
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え〜!
だって普段は、のほほ〜んとしてるドクターが
珍しくふさぎ込んでるから、
これは恋わずらいしかないな!と思ったんやん。
ほな、なんでそんなため息ついてるん?
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これじゃよこれ。
『夜と霧』という本とDVDじゃ。
これを読んで、映像を見ておったら
げんなりしてしも〜てなぁ〜。
第二次世界大戦でドイツが作った収容所の様子が
描かれておるんじゃが、言葉にならんほどひどいわい。
食事もしばらくは喉を通らんぞ。
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すぬ子ちゃんはよく覚えておるな〜!
そうじゃ、ユダヤのことなど、
な〜んも知らんかった当時の自分でさえ、
この本は知っておったからなぁ。
かなり有名な本だと思うぞ。
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すぬ子ちゃんはやっぱり才女やな!
と、一応、ひと言ほめておくとして・・・。
で、ドクター、どんな内容なん?
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これはウィーン生まれの精神科医が書いた、
ホロコースト体験記じゃ。
言ってみれば、この著者は”人の心の専門家”じゃ。
だから、ホロコーストという絶望的な状況に
実際に追いやられてしまった自分や
あるいは、周りの人間たちについて、
”人間の精神というものがどう推移していくのか”
ということを理論的に描いておるぞ。
とはいっても、もちろん、渦中にいるときには
本人も、極度の空腹や、言い尽くせないほどの体への不快感が
脳の9割以上を占めていたと思う。
しかしそれでも、
空腹や寒さでどんどん弱っていき、
次々と周りの人間が死んでいく姿を
目の当たりにするなかで、
頭の片すみでは、
”人間の精神状態”の変化を
冷静に分析する一面をもっていたのじゃ。
ホロコーストなんてものを好んで
体験したわけではないが、
自らの体験が医師としての力をさらに
高めたのであろうなぁ。
もちろん、ホロコーストのような鬼畜行為は
あってはならんことに100%違いはないがな・・・。
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具体的にどんな風にひどいわけ?
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そうじゃな。
とにかく、これはどこの収容所でもいえることじゃが、
与えられる食べ物が少なすぎる。
だから、みんな見事に痩せ細って、
生きたガイコツ💀みたいに見えるんじゃ。
それから、拷問の方法がいくつかあって、
それもひどい。
長時間労働、銃殺、殴打、野ざらし、
そして、毒ガスでの虐殺。
ほかにも、医師の免許をもっているとは思えんような
残酷な人体実験によって殺害された人もいる。
暇つぶし的に銃殺される、なんてことも
あったみたいじゃが、
気まぐれに人を殺すドイツ人の
精神状態を疑うわい。
しかし、実際に、”サディズム”というのが
存在していたようで、
「シャーデンフロイデ」といって、
他人の不幸を見て喜ぶために行なわれた拷問
があったのも現実の話みたいじゃ。
拷問をしていた人間は、
その人間のドイツ人の知り合いからすると
「あの人がそんな残酷なことをするなんて
ありえないです!」
と言うような人間じゃが、
実際に収容所では、誰よりも残忍な行為に
励んでいた、という話もよくあったそうだ。
人間の心の光と闇を感じるな。
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ホロコーストの映画も
いっぱい見てきたけど、
リアルな体験記を字で読むのは
より一層、残酷さが伝わってくるね。
にしても、そのお医者さんは最後まで生き残れてすごいわ。
そのお医者さんが最後まで生き残れた理由って
なんやったんやろう。
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お〜そうじゃそうじゃ。
肝心なことを説明せねばならんわい。
このお医者さんが自ら体を張って発見した、
”極限状態の人間がいかにして生き残ったのか”の話じゃ。
キーワードは”未来”じゃ。
この本の一部を引用しよう。
彼自身の未来を信ずることのできなかった人間は
収容所で滅亡していった。未来を失うと共に、彼はそのよりどころを失い、
内的に崩壊し、身体的にも心理的にも転落したのであった。
実際に、同じ囚人仲間でこんな人がいたそうじゃ。
要約して説明するぞ。
1945年3月の初め頃、
同じ仲間Fは希望に満ちた声でこう語った。「戦争が終わる夢を見たんだ。
それによると、戦争は、1945年3月30日に終わるんだ!」そして、予言の日はどんどん近づいてきた・・・。
しかし、収容所に入ってくる情報では
戦争が終わる気配はない。すると次のことが起こった。
3月29日に
Fは突然高熱を出して発病した。3月30日
ーすなわち、戦争と苦悩が「彼にとって」終わる日に
Fはひどい譫妄(せんもう)状態におちいり始め、
そして終に意識をうしなった。3月31日
彼は死んだ。
彼は、発疹チフスで死んだのである。
この出来事ついて、著者はこう言っている。
”勇気”と”落胆”
”希望”と””失望”
という人間の心理状態と、他方では、有機体の抵抗力との間に
どんな緊密な連関があるかを知っている人は、失望と落胆に沈むことが
どんなに致命的な効果を持ちうるかを
知っている。彼の体もともとすでに発疹チフスが潜伏していた。
しかし、期待していた解放がないという深刻な失望が、
潜伏していた発疹チフスへの抵抗力を急激に低下させ、
死に至ったのだ。
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え〜💦なんかその話、怪談より怖いなぁ💦
よく、”病は気から”っていうけど、
それってホンマってことやね。
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そうそう!病は気から!それじゃよ。
著書はニーチェの言葉を引用して
こんなことも言っておるぞ。
収容所で生きるためには、
ニーチェのいう
「なぜ生きるかを知っている者は、
ほとんどあらゆる如何に生きるか、に耐えうるのだ」が最も適切だ。
つまり、収容所でのあらゆるおぞましき生活に
如何に抵抗するためには、何らかの、囚人が生きるための「なぜ」を
意識しなければならい。
つまり、「なぜ」=「未来」「目的」ということじゃな。
著者はさらに「未来のある目的に向かって緊張すること」
が大切だとも言っておる。
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収容所に限らず、普通の人間生活でも、
年配の方が、「毎日行くところがある」と元気でいられる、とか。
「孫のためにがんばる!」とか
仰ってるのを聞くけど、それと同じことなんやね。
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そうじゃなぁ。
やはり、「生」というものは、
人でもものでも何でもいいから、
「未来の目的」すなわち、
「なぜ自分は生きるのか」を
強く意識することが大切なんじゃなぁ。
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さすが、今日はお題がお題だけに、奥深い話やね。
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そうじゃな。
そうそう。わしが主に話してきたのは書籍の内容についてじゃが、
実はDVDもあるんじゃ。
30分程度の短い映像じゃ。
しかし、それはすべて実際の映像で、
収容所が建設されてから、
実際にユダヤ人がどんな扱いを受けたかなどの
リアルな姿がでてくるぞ。
わしは何と言っても、
連合軍に解放されてからの映像が
あまりにも印象的じゃ。
なにせ、処理しきれなくなった死体の山を
ブルドーザーで見るも無惨に引きずっておるんじゃ。
これが本当に人間なのかと思わされるぞ。
やはり視覚の力というのは絶大じゃな。
とにかく、一度見てみるとよい。
むごすぎて目を背けたくなるかもしれないが、
それが歴史的な真実だということに
きちんと目を受けるべきだと思うぞ。
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人間の負の部分もちゃんと
理解しとかないとあかんね。
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あららら💦すまんすまん💦
今回はえらい長くなってしもうたなぁ。
というても、これでもまだすべてを語りきるには
程遠いのだが、なんだか暗い話になってしもうたので、
最後は爆笑ユダヤジョークで締めたいと思うぞよ!!
今日紹介するジョークは面白すぎてど肝をぬかずぞ!
わしはしばらく笑いが止まらず笑いすぎて
顔の筋肉がおかしくなったわい!
昔の思い出
老夫婦がふたりいっしょに食事の席についていた。
夫人の方が言う。
「あなた、ふたりが若い頃はよかったわ。
こうしていると、昔のことを思い出して胸が熱くなるわ」
おいて白髪の夫が答えた。
「あはは、何言ってんだ。
お前の垂れ乳がスープにつかっているだけじゃよ」
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あはははははは!あかん!おもしろすぎ!
お乳がスープにつかってんのに気付いてないって、
感覚までおかしくなってるやん💦
いや、ある意味、幸せかもね🌀
画像出展「Amazon」
参考文献:「夜と霧」「ジョークジョーク」