映画・本『夜と霧』ホロコースト体験記といえばこれ!


ドクターSドクターS

はぁぁぁ。

すぬ子すぬ子

ドクター、どないしたん?
めずらしく、そんな”この世の終わり”みたいな大きなため息して。

チロ丸チロ丸

あ!わかった!

その顔はゼッタイ”恋わずらい”やな!

すぬ子すぬ子

え!ドクター、ぬけがけやん!
わたしらが知らんうちに、恋ごころに花を咲かせてたってこと!?

そんな時間があったなんてびっくりやわ!

で、で、で、お相手はどこぞのどなたさんかしら?

ドクターSドクターS

お、お、お、お〜〜〜〜〜い!
ふたりとも!
何を言うとるんじゃ!

わしが真面目に考え込んでおるのに
勝手なことばかり〜〜〜!!!

チロ丸チロ丸

え〜!
だって普段は、のほほ〜んとしてるドクターが
珍しくふさぎ込んでるから、
これは恋わずらいしかないな!と思ったんやん。

ほな、なんでそんなため息ついてるん?

ドクターSドクターS

これじゃよこれ。

『夜と霧』という本とDVDじゃ。

これを読んで、映像を見ておったら
げんなりしてしも〜てなぁ〜。

第二次世界大戦でドイツが作った収容所の様子が
描かれておるんじゃが、言葉にならんほどひどいわい。

食事もしばらくは喉を通らんぞ。

すぬ子すぬ子

え?どれどれ?

あ、この本、前、映画『遥かなる帰郷』教えてくれたときに
読んだことあるって言うてた本よね。

『アンネの日記』と同じくらい有名って
言うてた気がする。

ドクターSドクターS

すぬ子ちゃんはよく覚えておるな〜!

そうじゃ、ユダヤのことなど、
な〜んも知らんかった当時の自分でさえ、
この本は知っておったからなぁ。

かなり有名な本だと思うぞ。

チロ丸チロ丸

すぬ子ちゃんはやっぱり才女やな!

と、一応、ひと言ほめておくとして・・・。

で、ドクター、どんな内容なん?

ドクターSドクターS

これはウィーン生まれの精神科医が書いた、
ホロコースト体験記じゃ。

言ってみれば、この著者は”人の心の専門家”じゃ。

だから、ホロコーストという絶望的な状況に
実際に追いやられてしまった自分や
あるいは、周りの人間たちについて、

”人間の精神というものがどう推移していくのか”
ということを理論的に描いておるぞ。

とはいっても、もちろん、渦中にいるときには
本人も、極度の空腹や、言い尽くせないほどの体への不快感が
脳の9割以上を占めていたと思う。

しかしそれでも、
空腹や寒さでどんどん弱っていき、
次々と周りの人間が死んでいく姿を
目の当たりにするなかで、

頭の片すみでは、
”人間の精神状態”の変化を
冷静に分析する一面をもっていたのじゃ。

ホロコーストなんてものを好んで
体験したわけではないが、
自らの体験が医師としての力をさらに
高めたのであろうなぁ。

もちろん、ホロコーストのような鬼畜行為は
あってはならんことに100%違いはないがな・・・。

チロ丸チロ丸

具体的にどんな風にひどいわけ?

ドクターSドクターS

そうじゃな。

とにかく、これはどこの収容所でもいえることじゃが、
与えられる食べ物が少なすぎる。

だから、みんな見事に痩せ細って、
生きたガイコツ💀みたいに見えるんじゃ。

それから、拷問の方法がいくつかあって、
それもひどい。

長時間労働、銃殺、殴打、野ざらし、
そして、毒ガスでの虐殺。

ほかにも、医師の免許をもっているとは思えんような
残酷な人体実験によって殺害された人もいる。

暇つぶし的に銃殺される、なんてことも
あったみたいじゃが、
気まぐれに人を殺すドイツ人の
精神状態を疑うわい。

しかし、実際に、”サディズム”というのが
存在していたようで、

「シャーデンフロイデ」といって、
他人の不幸を見て喜ぶために行なわれた拷問
があったのも現実の話みたいじゃ。

拷問をしていた人間は、
その人間のドイツ人の知り合いからすると
「あの人がそんな残酷なことをするなんて
ありえないです!」
と言うような人間じゃが、
実際に収容所では、誰よりも残忍な行為に
励んでいた、という話もよくあったそうだ。

人間の心の光と闇を感じるな。

すぬ子すぬ子

ホロコーストの映画も
いっぱい見てきたけど、

リアルな体験記を字で読むのは
より一層、残酷さが伝わってくるね。

にしても、そのお医者さんは最後まで生き残れてすごいわ。

そのお医者さんが最後まで生き残れた理由って
なんやったんやろう。

ドクターSドクターS

お〜そうじゃそうじゃ。

肝心なことを説明せねばならんわい。

このお医者さんが自ら体を張って発見した、
”極限状態の人間がいかにして生き残ったのか”の話じゃ。

キーワードは”未来”じゃ。
この本の一部を引用しよう。

彼自身の未来を信ずることのできなかった人間は
収容所で滅亡していった。

未来を失うと共に、彼はそのよりどころを失い、
内的に崩壊し、身体的にも心理的にも転落したのであった。

実際に、同じ囚人仲間でこんな人がいたそうじゃ。
要約して説明するぞ。

1945年3月の初め頃、
同じ仲間Fは希望に満ちた声でこう語った。

「戦争が終わる夢を見たんだ。
 それによると、戦争は、1945年3月30日に終わるんだ!」

そして、予言の日はどんどん近づいてきた・・・。

しかし、収容所に入ってくる情報では
戦争が終わる気配はない。

すると次のことが起こった。

3月29日に
Fは突然高熱を出して発病した。

3月30日
ーすなわち、戦争と苦悩が「彼にとって」終わる日に
Fはひどい譫妄(せんもう)状態におちいり始め、
そして終に意識をうしなった。

3月31日
彼は死んだ。
彼は、発疹チフスで死んだのである。

この出来事ついて、著者はこう言っている。

”勇気”と”落胆”
”希望”と””失望”
という人間の心理状態と、

他方では、有機体の抵抗力との間に
どんな緊密な連関があるかを知っている人は、

失望と落胆に沈むことが
どんなに致命的な効果を持ちうるかを
知っている。

彼の体もともとすでに発疹チフスが潜伏していた。

しかし、期待していた解放がないという深刻な失望が、
潜伏していた発疹チフスへの抵抗力を急激に低下させ、
死に至ったのだ。

チロ丸チロ丸

え〜💦なんかその話、怪談より怖いなぁ💦

よく、”病は気から”っていうけど、
それってホンマってことやね。

ドクターSドクターS

そうそう!病は気から!それじゃよ。

著書はニーチェの言葉を引用して
こんなことも言っておるぞ。

収容所で生きるためには、

ニーチェのいう

「なぜ生きるかを知っている者は、
ほとんどあらゆる如何に生きるか、に耐えうるのだ」

が最も適切だ。

つまり、収容所でのあらゆるおぞましき生活に
如何に抵抗するためには、

何らかの、囚人が生きるための「なぜ」を
意識しなければならい。

つまり、「なぜ」=「未来」「目的」ということじゃな。

著者はさらに「未来のある目的に向かって緊張すること」
が大切だとも言っておる。

すぬ子すぬ子

収容所に限らず、普通の人間生活でも、
年配の方が、「毎日行くところがある」と元気でいられる、とか。

「孫のためにがんばる!」とか

仰ってるのを聞くけど、それと同じことなんやね。

ドクターSドクターS

そうじゃなぁ。

やはり、「生」というものは、

人でもものでも何でもいいから、

「未来の目的」すなわち、

「なぜ自分は生きるのか」を

強く意識することが大切なんじゃなぁ。

チロ丸チロ丸

さすが、今日はお題がお題だけに、奥深い話やね。

ドクターSドクターS

そうじゃな。

そうそう。わしが主に話してきたのは書籍の内容についてじゃが、
実はDVDもあるんじゃ。

30分程度の短い映像じゃ。

しかし、それはすべて実際の映像で、
収容所が建設されてから、
実際にユダヤ人がどんな扱いを受けたかなどの
リアルな姿がでてくるぞ。

わしは何と言っても、
連合軍に解放されてからの映像が
あまりにも印象的じゃ。

なにせ、処理しきれなくなった死体の山を
ブルドーザーで見るも無惨に引きずっておるんじゃ。

これが本当に人間なのかと思わされるぞ。

やはり視覚の力というのは絶大じゃな。
とにかく、一度見てみるとよい。

むごすぎて目を背けたくなるかもしれないが、
それが歴史的な真実だということに
きちんと目を受けるべきだと思うぞ。

すぬ子すぬ子

人間の負の部分もちゃんと
理解しとかないとあかんね。

ドクターSドクターS

あららら💦すまんすまん💦

今回はえらい長くなってしもうたなぁ。

というても、これでもまだすべてを語りきるには
程遠いのだが、なんだか暗い話になってしもうたので、

最後は爆笑ユダヤジョークで締めたいと思うぞよ!!

今日紹介するジョークは面白すぎてど肝をぬかずぞ!
わしはしばらく笑いが止まらず笑いすぎて
顔の筋肉がおかしくなったわい!

昔の思い出

老夫婦がふたりいっしょに食事の席についていた。

夫人の方が言う。

「あなた、ふたりが若い頃はよかったわ。

こうしていると、昔のことを思い出して胸が熱くなるわ」

おいて白髪の夫が答えた。

「あはは、何言ってんだ。

お前の垂れ乳がスープにつかっているだけじゃよ」


すぬ子すぬ子

あはははははは!あかん!おもしろすぎ!

お乳がスープにつかってんのに気付いてないって、

感覚までおかしくなってるやん💦

いや、ある意味、幸せかもね🌀

画像出展「Amazon」

参考文献:「夜と霧」「ジョークジョーク」